ワールドやアバターを作るとき、「どれだけのオブジェクトを置けるか」「どのくらいメモリを使えるか」には限界があります。
この限界を超えると、
・パフォーマンスランクが下がる
・読み込みが遅くなる
・最悪の場合、Questでは読み込めない
といった問題が発生します。
オブジェクト数とは?
Unity上で配置する「GameObject」の数のことです。
ドアや家具、エフェクトなど、一つひとつがカウントされます。
・アバターの場合
アバターの構造に含まれる全てのパーツが対象。髪の毛や小物もカウントされます。
・ワールドの場合
シーンにある全オブジェクトが対象。ただしStatic化(動かない設定)やバッチングで軽減可能です。
推奨目安
・PC向けワールド:数千~1万オブジェクト以下
・Quest対応ワールド:数百~数千オブジェクト以下
(QuestはGPU/CPU性能が低いため、表示負荷に直結)
注意ポイント
・大量の小物はまとめる
例:10個の机 → 1つのメッシュに統合
・カリング(非表示処理)を活用
見えていない部分は描画しないことで負荷を下げられます。
メモリ使用量とは?
ワールドやアバターが読み込まれるときに必要なRAM量のこと。
テクスチャやアニメーション、サウンドデータなども全てメモリを消費します。
・PC版VRChat
ある程度余裕がありますが、メモリを食いすぎるとロードが遅くなります。
・Quest版VRChat
メモリ上限が非常に厳しい(2GB前後)。
超えるとワールドが読み込めず、エラーで戻されます。
主なメモリ消費源
1.テクスチャの解像度
4096×4096などの巨大テクスチャはQuestでは危険。512~1024px程度に抑える。
2.アニメーションやシェーダー
複雑なシェーダーはGPU負荷だけでなくメモリも消費します。
3.オーディオファイル
長時間・高音質の音声は圧縮(Vorbis形式など)して軽量化。
・Questユーザーが参加できない("This world is not supported on Quest"表示)
・ロードに時間がかかる(特に初回)
・移動中やイベント時にカクつく、最悪クラッシュ
対策項目 | 内容 |
---|---|
メッシュ統合 | 同じマテリアルのオブジェクトを一つにまとめる |
テクスチャ圧縮 | PNGやTGAを圧縮形式(ASTC/ETC2)に変更 |
LOD設定 | 遠くのモデルは簡易形状に切り替える |
オクルージョンカリング | 見えない部分は描画しない設定 |
Quest用軽量版ワールド作成 | PC版とは別に軽量バージョンを用意 |
まとめ
VRChatでは、オブジェクト数とメモリ使用量の管理が安定動作のカギです。
PCユーザーだけでなく、Questユーザーも快適に遊べるように、「軽く作る技術」が制作者に求められます。
見た目と軽さのバランスを取ることが、評価されるワールドやアバター作りの第一歩です。