VRChatは2014年頃にアメリカで生まれました。開発を手がけたのはGraham GaylorとJesse Joudreyという二人のクリエイターです。
彼らのビジョンはシンプルでした――「誰もが自分の姿を自由に作り、世界中の人と同じ空間で会話できる場をつくりたい」。
当時、VRデバイス(Oculus Riftなど)が一般に出回り始めた時期で、「バーチャル空間でのソーシャル体験」に挑戦するプラットフォームとしてVRChatはスタートしました。
・対応デバイス
当初はPCとOculus Rift DK2(開発者向けモデル)のみで動作。操作性はまだぎこちなく、参加者も少数でした。
・アバターの自由度
初期版ではアバターは限られたプリセットから選ぶ形が主流でした。ユーザー自身が自由にキャラクターを作れる機能は、のちにコミュニティの力によって急速に発展していきます。
・ワールド(空間)
最初期のワールドは「ロビー」と呼ばれる限られた空間が中心。そこにユーザーが集まり、会話や簡単な交流を楽しむだけでした。今のような多様なワールドが存在する状況からは想像もつかないほど小規模な世界だったのです。
・目的
当初のVRChatは「ソーシャルVRの実験場」に近く、ゲーム的な要素よりも「誰かと同じ場所にいる感覚」を実現することを第一に設計されていました
その後、ユーザーが独自に作成したアバターやワールドを導入できる仕組みが整えられると、VRChatは一気に文化的な広がりを見せます。二次創作や同人文化に近い盛り上がりを生み、現在の“カオスで多彩なコミュニティ”へと進化していきました。
VRChatの誕生は、技術的な挑戦というよりも「人と人をつなげたい」という発想から始まりました。最初は小さな実験的サービスでしたが、ユーザーの創造力を受け入れる姿勢があったからこそ、今では世界中で最も象徴的なメタバースの一つとなったのです。