VRChatでアバターを着てフレンドと会話したり、ワールドを移動したりするとき、裏では膨大な通信がやり取りされています。
でも「サーバーってどこにあるの?」「データはどうやって届いてるの?」と考えたことはありませんか?
ここでは、VRChatがどうやって私たちをつなげているのかを、分かりやすく解説します。
VRChatはざっくり言えば、**「中央サーバーで管理しながら、プレイヤー同士が直接データをやり取りする」**ハイブリッド型の通信構造です。
ログイン・フレンド管理・ルーム一覧 → VRChatの中央サーバー(管理系サーバー)
ワールド内での動き(アバター位置、表情、ボイスなど) → Photonサーバー+P2P通信
つまり、「どの部屋に誰がいるか」は中央サーバーが管理し、実際の動きはプレイヤー同士で共有しているイメージです。
VRChatが採用しているのが、**Photon(フォトン)**というマルチプレイ用通信フレームワーク。
これは、リアルタイム通信を高速かつ安定して処理できる仕組みで、VRChatの「ワールド内同期」を支えています。
Photonの役割は、
ワールドごとのルーム管理
プレイヤーの入退室の制御
同期データの中継(アバターの位置・ボイス・イベント)
特に、アバターの動きや表情、ギミックの動作はPhotonサーバーを通して伝わります。
P2P(Peer-to-Peer)通信は、プレイヤー同士が直接データをやり取りする仕組みです。
VRChatでは、
ボイスチャット
アバターや一部データの同期
がP2Pで行われます。
なぜP2Pなのか?
サーバーを経由しないため遅延が少ない
サーバーの負荷を減らせる
ボイスのやり取りがよりスムーズ
ただし、P2P通信は各プレイヤーの回線品質に左右されやすいのが弱点です。
回線が不安定なユーザーがいると、音声が途切れたり動きがカクついたりするのはこのためです。
ログイン・ルーム情報取得:
→ VRChatの中央サーバーにアクセス
ワールドに入る:
→ Photonサーバーがルームを割り当て、参加者情報を共有
ワールド内での同期:
→ 位置・モーションなどはPhoton経由
→ ボイスや一部データはP2Pで直接通信
メリット
高速かつ低遅延:サーバー集中型よりもレスポンスが良い
コスト効率:全部を中央サーバーで処理しないため、運営コストを抑えられる
スケーラブル:プレイヤー数が増えても比較的対応しやすい
課題
P2P特有の不安定さ:一人の回線不良が全体に影響することも
セキュリティ面:P2PはIPアドレスが相互に見える場合がある(VRChatでは対策済み)
複雑な同期処理:ワールドのギミックやUdonスクリプトが多いと同期が重くなる
ワールド制作やイベント運営では、
オブジェクト同期の最小化(必要なものだけ)
ボイス距離や通信頻度の調整
負荷の少ないスクリプト構成
が重要です。
とくにPhoton経由の同期はデータ量が多いほど遅延や負荷が増えるため、軽量化は必須です。
Photonサーバー:ルーム管理・アバター位置や動きの中継
P2P通信:ボイスや一部データを高速かつ直接共有
中央サーバー:ログイン・フレンド・ルーム情報管理
このハイブリッド構成が、VRChatのリアルタイムな多人数体験を支えているのです。