VRChatのサーバーアーキテクチャ(Photon, P2P通信)」について

VRChatのサーバーアーキテクチャ(Photon, P2P通信)」について

VRChatの通信はどう動いている?本記事では、Photonサーバーによるルーム管理やデータ同期、P2P通信によるボイスやアバター共有の仕組みを、初心者にも分かりやすく解説。開発者・ワールド制作者向けの注意点も紹介します。

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🌐 VRChatのサーバーアーキテクチャを理解する

「どこで誰とつながっているの?」を分解してみよう

 

VRChatでアバターを着てフレンドと会話したり、ワールドを移動したりするとき、裏では膨大な通信がやり取りされています。
でも「サーバーってどこにあるの?」「データはどうやって届いてるの?」と考えたことはありませんか?

 

ここでは、VRChatがどうやって私たちをつなげているのかを、分かりやすく解説します。

 

基本構造:サーバーとクライアントの役割

 

VRChatはざっくり言えば、**「中央サーバーで管理しながら、プレイヤー同士が直接データをやり取りする」**ハイブリッド型の通信構造です。

 

ログイン・フレンド管理・ルーム一覧 → VRChatの中央サーバー(管理系サーバー)

 

ワールド内での動き(アバター位置、表情、ボイスなど) → Photonサーバー+P2P通信

 

つまり、「どの部屋に誰がいるか」は中央サーバーが管理し、実際の動きはプレイヤー同士で共有しているイメージです。

 

Photonって何?

 

VRChatが採用しているのが、**Photon(フォトン)**というマルチプレイ用通信フレームワーク。
これは、リアルタイム通信を高速かつ安定して処理できる仕組みで、VRChatの「ワールド内同期」を支えています。

 

Photonの役割は、

 

ワールドごとのルーム管理

 

プレイヤーの入退室の制御

 

同期データの中継(アバターの位置・ボイス・イベント)

 

特に、アバターの動きや表情、ギミックの動作はPhotonサーバーを通して伝わります。

 

P2P通信って?

 

P2P(Peer-to-Peer)通信は、プレイヤー同士が直接データをやり取りする仕組みです。

 

VRChatでは、

 

ボイスチャット

 

アバターや一部データの同期

 

がP2Pで行われます。

 

なぜP2Pなのか?
サーバーを経由しないため遅延が少ない

 

サーバーの負荷を減らせる

 

ボイスのやり取りがよりスムーズ

 

ただし、P2P通信は各プレイヤーの回線品質に左右されやすいのが弱点です。
回線が不安定なユーザーがいると、音声が途切れたり動きがカクついたりするのはこのためです。

 

データの流れを簡単に図解すると

 

ログイン・ルーム情報取得:
 → VRChatの中央サーバーにアクセス

 

ワールドに入る:
 → Photonサーバーがルームを割り当て、参加者情報を共有

 

ワールド内での同期:
 → 位置・モーションなどはPhoton経由
 → ボイスや一部データはP2Pで直接通信

 

メリットと課題

 

メリット
高速かつ低遅延:サーバー集中型よりもレスポンスが良い

 

コスト効率:全部を中央サーバーで処理しないため、運営コストを抑えられる

 

スケーラブル:プレイヤー数が増えても比較的対応しやすい

 

課題
P2P特有の不安定さ:一人の回線不良が全体に影響することも

 

セキュリティ面:P2PはIPアドレスが相互に見える場合がある(VRChatでは対策済み)

 

複雑な同期処理:ワールドのギミックやUdonスクリプトが多いと同期が重くなる

 

開発者やクリエイターが意識すべきこと

 

ワールド制作やイベント運営では、

 

オブジェクト同期の最小化(必要なものだけ)

 

ボイス距離や通信頻度の調整

 

負荷の少ないスクリプト構成

 

が重要です。
とくにPhoton経由の同期はデータ量が多いほど遅延や負荷が増えるため、軽量化は必須です。

 

まとめ:VRChatは「サーバー+P2Pのいいとこ取り」

 

Photonサーバー:ルーム管理・アバター位置や動きの中継

 

P2P通信:ボイスや一部データを高速かつ直接共有

 

中央サーバー:ログイン・フレンド・ルーム情報管理

 

このハイブリッド構成が、VRChatのリアルタイムな多人数体験を支えているのです。