かつてVRChatは「遊び場」であり、ユーザー同士がアバターやワールドを見せ合うだけの空間でした。
ところが近年、この世界は急速に「経済圏」へと変化しています。
その中心にあるのが バーチャルマーケット(Vket) と Booth を軸にした売買の仕組みです。
Vketは、VRChat内で開催される世界最大級のバーチャル即売会です。
参加者はワールドを巡り、アバターや衣装、家具、ワールド用アイテムを自由に閲覧・購入できます。
現実の同人イベント「コミケ」をVR空間に再現したような存在で、
来場者はヘッドセットを装着し、アバターとして出展者のブースを歩き回ります。
特徴
・ワールド自体が「展示会場」になっている
・購入はBooth(ピクシブ運営のECサービス)経由で行われる
・出展者は個人クリエイターから企業まで幅広い
・回を重ねるごとに規模が拡大し、参加企業も増加中
VRChat内で見かける多くのアバターや衣装は、Boothを通して販売されています。
Boothは、クリエイターが自作データを簡単に販売できるプラットフォーム。
ユーザーは気に入ったアバターを購入し、自分のキャラクターとして利用します。
これによって生まれたのは、「VR内の身だしなみ=経済活動」という新しい価値観です。
リアル世界で服を買うように、VRChatでも「イベント用の衣装」「友人との撮影用アバター」を購入する習慣が広がっています。
1.クリエイターが職業化
→ 3Dモデリングが趣味ではなく、実際の収入源になりつつある。
2.ユーザーの消費意識の変化
→ 「無料で楽しむ場」から「投資して自分を表現する場」へ。
3.企業の参入
→ 出版社やメーカーがプロモーションの場としてVketに出展。
4.コミュニティ文化の成熟
→ クリエイターとファンが交流する仕組みがイベントとして定着。
もちろん、エコノミー化には課題もあります。
・価格競争によるクリエイターの疲弊
・非公式Modやデータ盗難による著作権リスク
・「買わないと楽しめない」空気感の懸念
しかし、それでもVRChat経済圏は拡大を続けています。
今後は メタバース内での公式通貨や決済方法の整備、
さらには NFTやブロックチェーンとの連動 が話題になる可能性も高いでしょう。
VRChatは、単なる遊び場から「消費と創作が循環する市場」へ進化しました。
VketとBoothはその象徴であり、クリエイターとユーザーが直接つながる場を提供しています。
この流れは、「メタバースの未来=経済圏の拡張」を示す縮図とも言えるでしょう。
現実の市場と同じように、仮想空間でも“お金が動く”時代はすでに始まっているのです。