みんな同じ世界を見られるのはなぜ?
VRChatでは、世界中の人と同じワールドに入り、同じタイミングで笑ったり踊ったりできます。
これは偶然ではなく、「同期」という仕組みで実現されています。
では、アバターやワールドのギミック、そして声までがどうやって同じ瞬間を共有しているのか、順番に見ていきましょう。
アバター同期の役割は、「自分の見た目や動きを他の人に正しく見せること」です。
位置と向き
頭・手・腰などのトラッキング情報を一定間隔でサーバーに送り、他の人の画面に反映します。
動きのブレを抑えるために「補間(Interpolation)」と呼ばれる滑らか化処理が行われます。
・表情やアニメーション
まばたきや笑顔などのパラメータを送信。アバターが持つ「Animator」がその情報を使って動きます。
・最適化のポイント
不必要な同期(例えば動かない小物の位置)を減らすことで、遅延や負荷を下げられます。
ワールド同期は「全員が同じギミックやイベントを体験できるようにする」ためのものです。
・同期オブジェクト
ドア、スイッチ、タイマーなど「状態が変わるもの」は同期対象になります。
たとえば、誰かがスイッチを押すと、その情報が全員に送られ、同時にドアが開くわけです。
・所有権(Ownership)
オブジェクトには必ず「持ち主」がいます。持ち主のPCがそのオブジェクトの状態を管理し、他の人へ伝える仕組みです。
遅延を減らすために、近くにいる人に所有権を移すこともあります。
・Udonスクリプトとの関係
ワールド内の動きを制御するUdonは、同期機能を使って複数人に同じ結果を見せられます。
ボイスチャットは「今そこにいる感」を生み出す重要な要素です。
・空間オーディオ
声の大きさや方向は、相手の位置と距離によって変化します。遠くの人の声は小さく、後ろから話しかけられたら後方から聞こえるようになっています。
・遅延と品質
音声は軽く圧縮され、P2P(プレイヤー同士)やサーバー経由で送られます。
ネットの状態が悪いと、声が途切れたり遅れて届くことがあります。
・制御機能
ミュートやブロックは即時ローカルで反映され、他の人には影響しません。
VRChatは、サーバー(Photonなど)を使ってルームの管理や基本データのやり取りを行いながら、
ボイスや一部データは直接(P2P)交換するハイブリッド型の通信構造を採用しています。
この構造のおかげで、
・遅延の少ない会話
・みんなで同じギミックを動かす体験
・アバターの動きの再現
が同時に成立しています。
ワールドやアバターを作る人にとって、同期は便利でありながら負荷の原因にもなる要素です。
・同期は必要最小限にする
・不要なオブジェクトはローカル動作に
・ボイス距離や人数制限を調整
・パフォーマンスツールで同期負荷を計測
VRChatのネットワーク同期は、
・アバター → 見た目や動きを共有
・ワールド → ギミックやイベントを共有
・音声 → 会話を共有
という3つの柱で成り立っています。
これらがきちんと連動しているからこそ、私たちは「同じ世界を一緒に歩いている感覚」を味わえるのです。