VRChatでワールドを制作するとき、基本は「Udon(ウドン)」というビジュアルスクリプトを使って、
ボタン操作や演出、インタラクションを組み立てていきます。
けれど、もっと複雑な動きをしたいとき――
たとえば、
・プレイヤー同士の同期されたミニゲーム
・時間経過で自動的にイベントが切り替わるステージ
・クイズやランキング、スコア記録などのロジック
こうしたものを作ろうと思うと、Udonのビジュアルだけでは限界があります。
そこで登場するのが「UdonSharp(ウドンシャープ)」です。
UdonSharpは、VRChatの公式SDKに対応したC#スクリプトでUdonを扱えるツールです。
言い換えると、
「Udonでしかできなかった処理を、普通のプログラミング言語で書けるようにするラッパー」
です。
これにより、開発者やエンジニア経験のある人は、Unity上で慣れたC#を使って効率的に開発できるようになります。
特長 | 説明 |
---|---|
✅ 高度な処理が可能 | if文、forループ、関数、変数などが使える |
✅ コードの見通しが良い | ビジュアルよりもロジックがシンプルに |
✅ チーム開発しやすい | Gitなどのバージョン管理と相性が良い |
✅ Unityとの統合がスムーズ | コンポーネント単位で拡張が可能 |
たとえば、「ランダムに敵を出す」「アイテムを拾ってスコア加算」なども、UdonSharpなら数行で済むこともあります。
UdonSharpを使うために必要なもの:
・Unity(VRChatが指定するバージョン)
・VRChat SDK3(Worlds)
・UdonSharp(GitHubまたはVRChat Creator Companionから導入)
・Visual Studio(またはコードエディタ)
たとえば「ボタンを押すとランダムな音が鳴る」処理は、以下のように書けます:
csharp コピーする 編集する
using UdonSharp;
using UnityEngine;
using VRC.SDKBase;
public class SoundPlayer : UdonSharpBehaviour
{
public AudioSource[] soundList;
public override void Interact()
{
int index = Random.Range(0, soundList.Length);
soundList[index].Play();
}
}
とてもシンプルですが、UdonGraphではこれを視覚的に繋ぐ必要があるため、処理が多くなると見づらくなるデメリットがあります。
◾ 同期処理(Networked Events)
他のプレイヤーと状態を共有する処理も、Networking.SetOwner() や SendCustomNetworkEvent() を使えば、リアルタイムのインタラクションも可能です。
◾ タイマー・クールダウン
Time.time を使って経過時間を管理 → イベント制御やゲームロジックに応用できます。
◾ コンポーネントの取得
Unityの標準関数で GetComponent
「他のプレイヤーが近づいたらドアが開く」などの動きも実現できます。
ワールドタイプ | 機能例 |
---|---|
ミニゲーム | スコア加算、タイマー管理、勝敗判定 |
ホラー系 | プレイヤー位置による演出分岐、音の同期 |
ショップ系 | ボタンで商品を表示、UI切り替え、在庫管理 |
クイズ | プレイヤー名付きランキング、出題ローテーション |
・VRChatの更新で一部コードが非推奨になることがある(公式リリースを要確認)
・ランタイムエラーが出ても、エディタ上では気づきにくい(Debugログの活用が大事)
・ビルド前には「Compile All」でC#→Udonへの変換チェックを忘れずに
UdonSharpを使うことで、従来の「制限された演出」から抜け出せる
難しそうに見えて、C#の基本文法が分かれば誰でも扱える
チーム開発や複雑なワールドにこそ、UdonSharpは力を発揮する
もしあなたが「こんなワールド、今までに見たことない!」という空間を作りたいなら、
UdonSharpはその夢を現実に変えてくれるツールです。